火葬して遺骨になった後は当然のようにあのお墓に入るのだろうな。
お墓がなければ、自分(の遺骨)が入る場所がないから準備をしておかなきゃ。
働き世代を終えてセカンドライフを過ごす人の中には、自分が生きている間にお墓の準備をすすめる人が増えています。
準備をするということは、そこに「~~してほしい」といったような気持ちがある表れ。その気持ちを遺族が引き継いで、自分が生前に思い描くような葬儀と法要が行われることを願っているのでしょう。
では、一歩踏み込んですこし具体的にあなたの気持ちを整理してみましょう。
寿命が尽きる前から、どうしてあなたはお墓の心配をするのでしょうか。
家族と自分とお墓の関係
自分の葬儀・納骨はこうでありたい!
という強い思いがある方はともかく、先祖のお墓がある人にも「自分の骨を終う場所に戸惑いを感じている」声をよく聞きます。
”偕老同穴(かいろうどうけつ)”という言葉を聞いたことがありますか?夫婦は共に年を取り、老いて亡くなった後には同じお墓に入って弔われる。という意です。
ある生命保険会社が行った調査によると、「夫婦は同じお墓に入るべきか」との問いに対して、全体では約55%の人が「そう思う」と回答しています。
この調査で注目したいのが女性の回答比率です。同じ問いについて「そう思う」と回答したのは47%。この割合を見ると、男性よりも女性の方がこの質問に対する前向きな回答数が少ないことは明白(男性の同回答は62%でした)です。
続いて女性の回答で「まあそう思う」29.6%、「あまりそう思わない」12%、「そう思わない」10%という結果が出ています。
同じお墓に入るべきか?という質問について、女性である筆者はここで「まあそう思う」という回答も、しいて言えば後ろ向きな気持ちが含まれているように感じてしまいます。
とはいえ、このアンケートで約半数の方が「一緒のお墓に安置されたい」と思っていることがわかります。
先祖墓とは別に、夫婦墓や、夫婦と子どもが納骨される場所(納骨堂も含め)を望む人もいますし、納骨する場所を探している方は選択肢の幅を広げて見学してみることをオススメします。
とどまらずに自然に還る永代供養にも注目
夫婦、家族の関係とお墓についてここまでお話しましたが、「お墓」というカタチにとらわれない方法があることも知っておくと良いでしょう。
たとえば、お墓に遺骨を納めずに手元に置いておく”手元供養”はこれまで、骨壺を自宅などに保管しておくのが一般的でした。
近年では、遺骨を分骨して骨の一部をアクセサリーなどの加工宝飾にし、残った骨を山や海に散骨または永代供養にゆだねる葬儀サービスもあります。
亡くなった後、お墓に納骨してそのまま放置するよりも、大切な人の遺骨を丁寧に扱える業者や専門サービスにお願いする選択肢が増えているのです。
大分の永代供養自然葬とは?
墓があれば、メンテナンスをしっかりとお願いできるところを。
墓のカタチにとらわれなければ、遺骨を丁寧に扱って自然に還す工程を真心こめて行ってくれるサービスを。
これを自分の目で見て選ぶのは、生前にしか出来ません。
自分が亡くなった時、共に生きる人に後のすべてを託す大仕事を、残すのではなく”共に選んでおく”という話を、夫婦の会話の1つに加えてみませんか。
参考資料
『〈ひとり死〉時代のお葬式とお墓』小谷みどり著 岩波書店出版2017年
『だれが墓を守るのか』~多死・人口減少社会のなかで~ 小谷みどり著 岩波書店出版2015年
『あしたはワタシのお葬式』まついなつき著 NHK出版2002年